らき☆すた 第5話「名射手」
OPの監督名が山本寛から武本康弘に変更され、他にもネタや仕掛けを匂わすところはなく普通に監督が交代した模様。
内容的には、あいかわらずのオタ成分多めのあるあるネタといったところですが、前回までのハルヒやクレしんといった露骨なパロディが影を潜めていたように思いましたよ。代わりかどうかは分からないけれど、こなたによるネトゲのジャーゴンを多用したセリフが投入されて、分かる人間にとってはそれは通じないだろう的な、分からない人間にとっては他のキャラクター達の反応を通して彼女の空気の読めないオタクぶりに、呆れながらも親近感を感じられるような作りになっておりました。らっきー☆ちゃんねるで今回のネタについて賛否両論だろうと言わせたり、台本での名前の表記ミスに怒ってみせたりと、作品と視聴者の中間的な位置にあることを、より明確にしていたのが印象的。
あとは場面の不自然に思える跳躍がなくなり、引っかかりなく繋がるようになったことくらいで、マッタリとした雰囲気は変わらずといったところ。
アニメにおける監督の降板交代劇いろいろ
らき☆すたの件で気になったので、著名な作品や人物に関わる監督の降板交代劇をピックアップしてみましたよ。*1
- 「タイトル」
- 誰から→誰へ
- 交代の理由
- ソース
の順で。
- 「ルパン三世・第1期」(1971-72)
- 大隅正秋(〜3話)→高畑勲・宮崎駿
- 初期の大人向けのハードボイルド路線が低視聴率だっため。高畑、宮崎に交代後コメディ色が強くなり国民的アニメになる土台を築く。
- 参照:ルパン三世 (TV第1シリーズ) - Wikipedia
- 「勇者ライディーン」(1975-76)
- 富野由悠季(当時は喜幸)(〜26話)→長浜忠夫
- オカルト要素を取り入れたロボットものとしてスタートしたものの路線変更を迫られ、混乱する現場をまとめる事が出来なくなったため。
- 参照:勇者ライディーン - Wikipedia
- 「ベルサイユのばら」(1979-80)
- 「うる星やつら」(1981-86)
- 押井守(〜129話)→やまざきかずお
- 押井が製作会社を退職。監督の個性を前面に出した作風と劇場版の製作におけるスケジュール管理による軋轢が原因とのこと。
- 参照:うる星やつら - Wikipedia
- 「鎧伝サムライトルーパー」(1988-89)
- 池田成(〜19話)→浜津守
- 玩具の売り上げ不振。女性ファンからの支持によりOVAで監督に復帰するが、後のガンダムWで再び途中降板。
- 参照:池田成 - Wikipedia
- 「ふしぎの海のナディア」(1990-91)
- 庵野秀明(〜22話)→樋口真嗣→庵野秀明
- 23話からの通称島編で交代。庵野がシリーズ終盤を作業に専念するとの理由で中盤の監督を樋口に任せたため。
- 参照:「樋口真嗣」の版間の差分 - Wikipedia
- 「機動戦士ガンダム 第08MS小隊」(1996-99)
- 神田武幸(〜6話)→飯田馬之介
- 監督逝去により。
- 参照:機動戦士ガンダム 第08MS小隊 - Wikipedia
- 「彼氏彼女の事情」 (1998-99)
- 庵野秀明(〜14話)→佐藤裕紀、アンノヒデアキ
- 2週連続総集編、パンツ見せ等理由について諸説あり。降板後も実際は監督として働いていたとのこと。
- 参照:彼氏彼女の事情 - Wikipedia
- 「ドッと!KONIちゃん」(2000-01)
- ワタナベシンイチ(〜13話)→安田ケンジ
- 作品内容について局側から修正要求。担当する最後の回、監督自身が声を当てるアフロ犬が劇中でお別れの言葉を述べたらしい。
- 参照:2ちゃんねるの過去スレ「ドットKONIちゃん」の36
- 「シスター♥プリンセス」(2001)
- 大畑清隆(〜13話)→伊灘郁志
- 理由は明らかにされていないが、交代後に路線変更が見られるため、作品の方向性に関するものと思われる。
- 参照:シスター・プリンセス - Wikipedia
- 「あたしンち」(2002-)
- 大地丙太郎(〜5話)→やすみ哲夫
- ホームコメディを望むプロデューサーと独自の方向を目指した大地との意見の対立。
- 参照:あたしンち - Wikipedia
- 「魔法先生ネギま!」(2005)
- 宮崎なぎさ(〜13話)→羽原信義
- 劣悪な作品のクオリティ(主に作画)が批判を受け、その責任を取る形で。クオリティについては放送開始が前倒しになったため、十分な製作期間が設けられなかった事が原因という説も。
- 参照:魔法先生ネギま! (アニメ) - Wikipedia
- 「キスダム」(2007)
- 総監督:長岡康史 、監督:佐藤英一 、副監督:神戸洋行
- 厳密には交代ではないけれど、放送開始から監督と名がつく人物が3人もいるというよく分からない状態。4話目で総集編という異常事態も話題に。
- 参照:キスダム -ENGAGE planet- - Wikipedia
- 「らき☆すた」(2007)
- 山本寛(〜4話)→武本康弘
- 京都アニメーションによる公式の発表とともに降板。過去に例のない「監督において、まだ、その域に達していない」というコメントが様々な憶測を呼んでいる。
- 参照:山本寛 (アニメ演出家) - Wikipedia
自分が聞いたことがあるものや、ざっと調べて見つかったものを挙げてみたんだけれど、それだけでも意外に数があることが判明。
理由としては監督と局やプロデューサーとの対立、作品の品質や現場管理の問題がほとんどを占めていて、視聴者やスポンサーからのクレームが直接の原因となったものが、XEBEC版のネギまくらいしかなかったのが意外でした。
降板を経験した人物としては、富野由悠季や押井守、庵野秀明といったヒット作を生み出した人物も含まれていて、やっぱり一度くらい失敗の経験があったり、自分の考えを押し通した末に降板するくらい我の強かったりする方が、監督として成功するのかなぁと思いましたよ。らき☆すたの件も、製作会社側から公式の発表があったという点がネット時代ならではといったところですが、監督交代という出来事自体は特に珍しいことでもないんだなと。
追記:GIGAZIN入りでアクセスが凄いことになって驚いたりしてますが、バスカッシュの件も踏まえたり、いくつか修正を加えた2009年版も作ったので、そっちもよろしくです。ついでのこっちも見栄えとリンク先を修正。
瀬戸の花嫁 第6話「お嬢さん お手やわらかに」
主人公の幼なじみの巡の視点から燦の秘密に迫る話。本人も意識していない永澄に対する気持ちが屈折しまくった挙句に、燦の正体を暴くという方向に向かうというのが面白く、騒動の末にようやく自分の気持ちを意識し、燦の正体に気付きながらもそれを不問にするというまとめがい爽やかな後味を残すものとなっておりました。いつもどおりのハイテンションなギャグを交えるながら、好きだのなんだのという言葉を表に出さずに、幼なじみに対する微妙な感情を描くという丁寧な作りが好印象。
燦のハウリングボイスを大声で済ませたり(まあ間違ってはいないんだけれど)する一方で、巡の永澄に対する気持ちには気付いていたりして、鈍いんだか鋭いんだかよく分からないサルも話のまとめ役としていい働きで、今回で永澄の友人である二人のキャラクターが深まったように思いましたよ。
親分と永澄の廊下での追いかけっこを魚眼レンズ風に画面を歪ませながら背景動画で見せるところは、手間がかかっていそうな面白い場面。