『ぺとぺとさん』 最終話「さよなら、ぺとぺとさん」

前回の祭の終わりを予感させる引きから、どうやって話を締めくくるんだろうと、一週間ドキドキしながら待っていたわけですが、・・・正直なところ、ちょっと物足りなさが残る最終回となりました。
「あなたがいれば社会が変わるかもしれない」という委員長の赤沢の発言や今までのことをぺと子に謝罪するカンナ、「プロジェクト・アケガラス」をあっさり反古にして啖呵を切るくぐる、そして化けダニに襲われるぺと子を助けて告白するシンゴ等々、ぺと子をめぐる人間関係については決着がついたわけですが、それぞれがバラバラというか。シンゴの力によって、ぺと子は助かるわけだけども、あの描写だと、結局のところシンゴとの思い出だけでぺと子が留まったように見えて、赤沢やカンナやくぐるナがぺと子にかけた言葉が無意味だったんじゃないかと。周りにいるクラスメイト達も見てるだけで何もしなかったし。まあ、化けダニからの救出は、妖怪ぺとぺとさんという生まれから来る負い目故に、好きな人に対して素直に接することが出来ないぺと子を開放する意味もあるわけで、彼女を助けるのは、その思い人であるシンゴである必要があったんだと思いますが。それでも、もう少し他のキャラクター達も関わりようがあったんじゃないかなぁという気持ちも否めず、そこら辺が物足りなさの原因かなと。
とはいえ、シリーズ全体としては、個性的なキャラクター達が織りなす日常生活や人間模様が面白かったし、ミにょコンやいもてんといった変なイベントも、なんともいえない妙な雰囲気があってけっこう好きでしたよ。河童姉妹の和解の時みたいにグダグダかと思えば、終盤のぺと子、くぐる、シンゴの三角関係のように、ちょっとした仕草でキャラクターの心情を感じさせる繊細な演出があったりと、その落差も、かえって質の高い話の印象を強める結果になっていたんじゃないかと思います。特に別離の予感の中に進められる12話は、細かい目の演技を見せてくれた作画とあいまって、強く心に残るエピソードとなりました。この12話の存在をもって、この作品を俺的アニメ殿堂の一員に加えたいと思ったりするわけです。
しかし、これだけ魅力的なキャラクターが揃っているのにたった1クールで終わりにするのももったいない話ですな。原作の続きもあるみたいだし、アニメの続編にも期待したいところ。またぺとぺとさんに会いたいです。