けんぷファー 第9話「Hochsommer 〜恋の熱帯低気圧〜」

水着回。ナツルが今度は紅音とデートをすることになるわけですが、雫たちが乱入していつものカオスなラブコメ空間になるということで、大変楽しいお話でしたよ。ついでに白のケンプファーたちも乱入し、楓との繋がりや彼女の裏の顔が露わになりはじめたりもして、物語的にも動きのあるエピソードとなっておりました。
ナツルの何気ない一言から妄想をふくらませた挙げ句にスルーされる紅音に、ハイテンションで走り回る水琴、クールに迫る雫と、それぞれのキャラを生かした見所がてんこ盛り。楓による男の自分に対するキツい評価を、女の状態で聞かされるナツルには、笑いながらもちょっと同情してしまいましたが、まあ彼が普段他のヒロインたちにとっている態度を考えると、あのくらい言われるのも当然かもと思ったり。雫がナツルに対して好意があるように振る舞いながらも、一方では敵をおびき寄せるおとりに使ったりするドライな扱いも真意が読めなくて、ナツルが彼女を警戒する理由となっていると同時に、その底の見えないキャラクターとしての魅力を引き出しておりました。
雫たちがナツルと紅音の前に現れる場面の会話や、白のケンプファーとの戦いの最中にナツルの下半身についてのやりとりがはじまるあたりにも笑えるところで、ここら辺はナツルに対する言動という形で、それぞれのキャラクターが明確になっているからこその面白さといったところかなと。さらに性別の違いによって、好意の方向が真逆だったりすることで生じるややこしさが、アクセントになっているように思いましたよ。臓物アニマルたちの寸劇もまた楽しく。
水着は露出が高く、作画的にも安定していてサービス的に見応え十分。また女ナツルが男の視点で自分の水着姿を恥ずかしがるあたりは、TSモノとしてのツボを押さえた描写となっていてよろしかったですよ。雫がコップにキスをしてからナツルとキスをする流れは、かなりテンションの上がる場面で、他のヒロインたちの目の前で行為に及ぶ大胆がステキでしたよ。下唇を舐めてから舌を入れる様子を見せる演出がいい仕事で、文化祭の時の糸引きに勝るとも劣らないインパクトがありました。このキスについても、それに刺激されたかのように楓が動くあたり、雫の意図を勘ぐりたくなってしまうわけですが。
白のケンプファーについては、楓と目配せをする場面があったりして、両者に繋がっている可能性がより濃厚に。楓が時折みせる邪悪な表情は、彼女がケンプファーの戦いに関して、重要な鍵を握っていることを仄めかすもので、あれだけ腐していた男ナツルを終わり際に連れ出すという行動もあからさまに不自然で、何を企んでいるのかと気になりますよ。
ブコメと視聴者サービス、そして物語の進行と、それぞれの要素が絶妙に配分されていて、よく出来たお話となっておりました。時折入るデフォルメ絵も秀逸。